ある日の事。
「あれ？耳をすませてごらん？
何か音がするよ！」
河原で小さな可愛い音が聞こえます。
するとそこには、
草笛を吹いている人がいました。
草から音が出る不思議さと、
思いもしない綺麗な音が
とても素敵で、
私はすぐに魅了されました。
幼い私は、すぐに真似っこ。
なんとか音が出せるようになります。
次に自分の知っている歌を
試みました。
時が経つのを忘れ、
夢中になって練習し、
そしてとうとう、
簡単な曲が吹けました。
「やったー！出来たよ！」
とても嬉しかったと同時に
口が痛かったことを覚えています。
河原で当たり前に生えていた「草」が
「楽器」になった瞬間です。
それからと言うもの、
色々な物から音が出る事が分かり、
ドレミの音を奏でるのが楽しくて、
とても夢中になりました。
神主の家に育ち、
物心つく前から太鼓や笛などが
当たり前にある環境だったので
音の出る物が好きだったのかも
知れません。
そして色々な楽器がある事を知り、
言うまでもなく、
自然と興味が深くなります。
「どんな音がするんだろ？
早く見たい！触ってみたい！」
そんな好奇心いっぱいな
幼少期を過ごしました。
中学校に上がり、
そこで運命的な先生と出会います。
それは音楽の先生で、
とにかく沢山の楽器を
私に触れさせてくれました。
今振り返ってみれば
この時間はとても贅沢で
奇跡的な時間だったなと確信しています。
様々な楽器を触らせていただいた
経験は、まさに宝物です。
生涯忘れられない中学生活を
恩師と共に過ごす事になります。
様々な素敵な音のする楽器たちを
手に取り、
音を出し、
だんだんお気に入りの楽器が
見つかってきました。
私の選んだ楽器は『マリンバ』。
優しく温かく、
それでいてキラキラしている音色に
疲れを忘れて夢中になって練習し、
気が付いたら校内の代表へ。
その体験は「楽器奏者」としても
「人間」としても
大変な、得難い「自信」を
持つ事が出来ました。
その「自信」は音楽だけでなく、
NHKの弁論大会に出る事にも貢献し、
様々な出来事を前向きに
こなせるようになった気がします。
そして我が恩師は、７０年の時が経っても
未だにやり取りが続いています。
素晴らしいご縁に、
本当に感謝しかありません。
さて、今日は音あそび。
「早くドラムを叩きたい！」
園児たちの心がウキウキしている様子です。
楽器に触れ、夢中で遊びはじめます。、
熱が入り、時間が経つのが早く感じられます。
日頃経験ができない事に、園児たちは大喜び！
「将来は音楽家になりたい！」
帰宅後、お母さんにおねだり。
「ドラムを買って！」
お母さんはびっくり。
そんなやりとりが、想像出来ます。
私は45年前の光明幼稚園で
子どもたちにハーモニカを
教えていた事があります。
それが今、
『音あそび』として復活するなんて、
思いもよりませんでした。
大人が思っているより、
子どもたちは本気なんです。
チャンスがあれば、
是非色々な楽器に触れてみてください。
とても楽しいですよ！
光明幼稚園顧問 前副園長 福寿 理子
