光明幼稚園のブログ

港北区高田西にある光明幼稚園の風景

園長のよもやま話

昨年度(令和2年度)より「音あそび」を始めました。私(園長)と事務長の2人が中心となり、子どもたちに音楽の楽しさを知るきっかけとなるように、様々な楽器や音楽と直に触れる機会を作ろうと、このような取り組みを始めました。文字ばかりで少し長くなりますが私の想いを紹介させていただければと思います。 

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 私が初めて楽器に触れたのは、4歳の誕生日、親からエレクトーンを買ってもらったことに始まります。以降、当時光明幼稚園を会場に開催していたヤマハ音楽教室、小学校に上がってからは山響楽器日吉店でのエレクトーン教室へ通いました。

 ある時、発表会のアンサンブルを目前に控えて、一緒に教室へ通う6人全員に練習熱が入っていた時のことです。自分たちのレッスンが始まる前の、前のクラスの人たちとの入れ替え時間の数分間も惜しむように個々に練習を始めました。アンサンブルですから皆別々のパートを受け持っています。それぞれがバラバラに練習していたのでまるで騒音のように音の渦が狭い教室に充満しています。ふと耳を澄ますと、隣の子が弾いている音が聞こえました。隣の子に合わせてみよう!そう思って曲の途中から一緒に弾いてみました。隣の子もそれに気が付いて、一曲最後まで弾き終えると最初からもう一度合わせよう!と目で伝えてきます。今度は二人で最初から合わせて演奏を始めました。他の子たちも私たちが2人で合わせて演奏していることに気が付き、曲が終わるころには全員が合わせて演奏していました。

 この時小学生の私は、ゾクゾクする程の感動を覚えたのです。クラスが一つになった。誰かがやろうと言ったわけでもなく、こうしなさいと言われていたわけでもなく、誰も一言も言葉を発していないのに音楽で一つになったのです。なんてすばらしい瞬間なんだろう、そう思いました。きっとこの時が音楽って素晴らしいと思えた最初の瞬間だったのではないかと思います。

 中学に入ってから楽器を習うということから離れてしまったので、今では楽器を弾けるなんて間違っても言えない恥ずかしい状態ですが、その時のゾクゾクした体験が今の自分の支えとなっている気がします。

 

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大学時代のサークルでのこと。

 私は、フォークソング同好会に所属していました。友人が所属していたので、サークルの集まりや、サークルのミニコンサートに遊びに行き、片付けの手伝いなどをしていたのですが、年度最後のコンサート終了度、突然次年度の音響担当を任せるとみんなの前で会長から言われてしまったのです。その時点では入部をするなど考えてもいませんでしたから「まだ入部してません」と言いましたが、会長は「入るだろ?」と。コンサートの音響などやったことはありませんでしたが、音楽は好きでしたし、オーディオも好きだったので、ライブ音響ということにも興味はありましたので、教えてもらえるならと入部することになりました。私の音響好き人生はここに始まります。

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 入部の翌年、新入部員の初心者ばかりで作ったバンドのメンバーに手伝いを頼まれ、キーボードで参加することになりました。何度となく深夜の練習スタジオに足を運びましたが、それぞれのメンバーに必ず引っ掛かってしまう間違えやすいポイントが出来ていて、それをどうしても解消できずにいるまま、発表会当日を迎えてしまいました。緊張しながら迎えたステージ。曲が始まり、もうすぐドラムの難しいフレーズがやってきます。メンバーの視線がドラム担当へ集まります。ドラム担当はなんとか難しいフレーズをこなせました。ホッとする間もなく次はギターに難しいフレーズがやってきます。当然メンバーの視線はギターの担当へ注がれ・・・。メンバー一人一人が全力を出し切り、みんなで支えあって何とか発表を終えることができました。

 決して上手なわけでも、格好良かったわけでもありません。しかし、この時のメンバーの皆を心配し合うその気持ちの融合が素晴らしい一体感を感じさせてくれた、最高に心地よい暖かい時間となりました。技術や経験ではなく楽しめる、たとえ上手じゃなくてもその瞬間が最高と思える、そんなことを教えてもらえた経験となりました。

 たとえギターやピアノが弾けなくても、口ずさんだり手をたたいたり、身体を揺らしたりという形で一緒に参加することができ、また生まれた国やしゃべる言葉、性別や年齢に係わらず、一緒に楽しむことができるのが音楽なのだと思います。

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 私にとって音楽は、つらい時や悲しい時に寄り添ってくれたり、楽しい時うきうきした気持ちに花を添えてくれたり、ここぞという時の集中に力を貸してくれたりと、無くてはならない大切な存在です。幼稚園児の時期に出会った音楽が、半世紀にわたり私を支え続けてくれています。ですから、子どもたちに音楽と友達になる様々なきっかけを作っていくことも、園長としての務めであると思っています。しかし、子どもたち全員に音楽好きになれとは思っていません。ましてミュージシャンになってほしいとも思っていません。なってくれたら個人的に一緒に楽しむ仲間が増えたとうれしくなるとは思います。スポーツで救われる子も、美術で救われる子も、文学で救われる子もいるでしょう。それでいいと思います。ただ、「救われるもの」があったらいいなと。あってほしいと思います。幼稚園は「自分が救われるもの」のきっかけのデパートでありたいなと思うのです。

 私自身は、スポーツが苦手です。ですから友人でもあるエストレーラFCの奥村代表に「運動あそび」を託しました。技術ではなく楽しさを伝えてほしいと。奥村代表も楽しさを伝えるためならやりましょう!と引き受けてくれました。また、数年前こどものとも社の扱うすべての絵本を、丸ごと全部購入するチャンスをいただきました。これからもデパートの品数を少しづつ増やしていこうと思います。

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